7月29日(日)、ピレネー山脈のアンドラ公国で行われたワールドシリーズ戦スカイレース・コマペドローサ(Skyrace Comapedrosa)高村貴子(Takako Takamura)が10位に入りました。昨年の同大会では3位という大健闘をみせた高村。今年の大会は年間ランキングのボーナスレースと位置付けられたこともあり、昨年より遥かに選手層の厚いハイレベルな戦いとなりましたが、実力を出し切って見事トップ10に再び入りました。

「スカイレース・コマペドローサ」は、アンドラ公国の最高峰であるコマペドローサ(標高2942m)を舞台とする、同国を代表する山岳レースです。アリンサルの集落の中心から、まずはPic de les fonts (2748m)へ登り、次に2kmで約900m上昇する断崖絶壁ともいえるコマペドローサの東斜面を山頂まで直登、そして、アリンサルの集落へと戻ってくる21km/±2300mのコース。ワールドシリーズの中でも平均斜度が最も急峻な難易度の高いコースでもあります。

先週末のドロミテスカイレースでは全く実力を出せなかった ©Sho Fujimaki
先週末のドロミテスカイレースでは全く実力を出せなかった ©Sho Fujimaki

欧州での世界戦を転戦中の高村は、先週にイタリアで開催されたドロミテスカイレース(Dolomite Skyrace)では雰囲気にのまれてしまい30位と実力を出すことのできませんでした。得意といえる急峻な山岳区間が長く続くコマペドローサで、ドロミテの雪辱を果たすべくアンドラ公国へと乗り込みました。

中盤の下り坂。世界レベルのスピードで軽やかに駆け下る ©Skyrace Comapedrosa
中盤の下り坂。世界レベルのスピードで軽やかに駆け下る。表情が実にいい @Francesc Llado Riba

ハイレベルな選手が集結したレースは序盤からハイペースな展開に。昨年の覇者であるラウラ・オルゲ(スペイン)、双子のサナ・エルコット、リナ・エルコット(スウェーデン)を先頭に、急峻な山岳区間へ選手たちは突入しました。高村は後半のコマペドローサの登りでの挽回を考え、序盤は先頭集団につくことなく、自分にとって最良のペースをキープすることに徹したレース展開に。

コマペドローサ山頂直下のテクニカルなダウンヒル。最後まで攻め続ける ©Skyrace Comapedrosa
コマペドローサ山頂直下のテクニカルなダウンヒル。最後まで攻め続ける @escobedoheart

急峻な山岳区間に入ると序盤に抜かれた選手を次々と抜き返し、コマペドローサの山頂手前では10位まで順位を上げました。山頂からゴール地点まで続く長大でテクニカルな下り坂では、男性選手をペースメーカーに最後まで攻め続け、3時間29分33秒でゴール。緻密な計算からレースの組み立てを得意とする高村ですが「登山力が試される本当の山岳レースで自分の計画通りのレースをすることができた」と、ドロミテの雪辱を果たすことに成功しました。

目標通りのタイムでゴール。実力を出せたゴール後の表情は明るかった
目標通りのタイムでゴール。実力を出せたゴール後の表情は明るかった

9月の世界選手権ではスカイ部門の日本代表を務める高村。「初速のスピードが自分には足らないので、自分の苦手な部分を埋めて世界選手権に臨みたい」と2周に渡る遠征では大きな収穫があったようです。2年前まではユース世代だった彼女が、今や日本やアジアの女子スカイランニング界のリーダーとして立派に成長したといえます。世界の頂上を目指して駆け登りつづける若きスカイランナーを応援しましょう!!

SkyRace® Comapedrosa results

Women
1. Lina El Kott(SWE) – 3h03’04”
2. Laura Orgué (ESP) – 3h06’54”
3. Senna El Kott (SWE) – 3h11’53”
4. Sheila Avilés (ESP) – 3h11’55”
5. Holly Page (GBR) – 3h16’19”
10.Takako Takamura(JPN)- 3h29’33”

Men
1.Kilian Jornet (ESP) – 2h33’18”
2.Pascal Egli (SUI) – 2h36’29”
3.Petter Engdahl (SWE) – 2h39’12”
4.Finlay Wild (GBR) – 2h41’34”
5.Alejandro Forcades (ESP) – 2h42’20”

公式レポート(It’s records all round for Jornet and El Kott at Comapedrosa 英文)

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