3月8-9日、イタリア・タルビジオ2024スカイスノー世界選手権が開催されました。バーティカル(駆け登り)クラシック(駆け登り+駆け下り)の2種目に挑んだ6名の”初代”日本チームは団体7位という歴史に残る”足跡”を残しました。

2回目となる世界選手権には21カ国が参加した ©ISF
日本・アジア勢として初の世界選手権に挑んだ『6人の侍』 ©ISF
石田のフィニッシュ ©JSA
美しいフィニッシュ地点 ©JSA

1種目目のバーティカル(3.6km/+974m)は夜のゲレンデを駆け登る幻想的な雪上レース。男子はイタリアの強豪スカイランナーであるタデイ・ピヴィック(Tadei PIVIK)、女子はオリエンテーリングの世界チャンピオンでもあるスウェーデンのトーブ・アレクサンデルソン(Tove ALEXANDERSSON)が金メダルを獲得しました。日本勢では男子13位に宮川朋史(Miyagawa Tomofumi)、女子18位に小林華蓮(Kobayashi Karen)が日本勢の最高位として入りました。

チーム代表・小幡利春選手の感想
会場のスキー場は人工雪でコースが保たれていました。当日のコンディションはスタート地点はザクザク雪、小雨、体感温度1度位で防水ジャケットを着て走ってちょうど良く、ゴール付近も雪質に少し変化はあるもののアイスバーンにはなっていませんでした。スタートは最前列で世界の走りを体感しましたが、上位選手の走りは力強く、ほとんどの選手がポールを使用。踏み固められてないコースをものともせずに駆け上がって行きました。中盤はナイターが無くヘッドライトで走行。その頃には先頭は遥か前。終盤はモンテ・サント・ディ・ルッサリの街灯に大声援を浴びながらの幻想的なゴール。そしてチームジャパンで健闘を称え合いました。

2024スカイスノー世界選手権・バーティカル

WOMEN
1. トーブ・アレクサンデルソン Tove ALEXANDERSSON (SWE) 42:28:59
2. マドレン・カップラー Madren KAPPLER (GER) 42:44:18
3. コリーナ・ジラルディ Ghirardi Corinna (ITA) 43:39:03
18. 小林華蓮 KOBAYASHI Karen (JPN) 51:58:43
26. 齋藤磨実 SAITO Mami (JPN) 59:27:34


MEN
1. タデイ・ピヴィック Tadei PIVIK (ITA) 36:04:75
2. ディエゴ・ディアス Diego DÍAZ ORTEGA (ESP) 36:54:01
3. ルカ・デルペロ Luca DEL PERO (ITA) 37:36:33
13. 宮川朋史 MIYAGAWA Tomofumi (JPN) 42:00:16
18. 石田寛雄 ISHIDA Hiroo (JPN) 44:01:06
20. 中嶋純太 NAKAJIMA Junta (JPN) 44:20:77
25. 小幡利春 OBATA Toshiharu (JPN) 45:38:18

クラシックスタート前に気合を入れる日本代表 ©JSA
男子優勝の二ルソン(スウェーデン) ©DamianoBenedettoPhoto
女子2位のカップラー(ドイツ)を追う宮川(後方) ©DamianoBenedettoPhoto

2日目のクラシック(15.4km/±515m)はバーティカルの翌日に開催されました。緩やかなコース設定であり序盤からスピードレースが展開されました。男子優勝はマルタン・ニルソン(Martin Nilsson)、女子優勝はトーブ・アレクサンデルソン(Tove ALEXANDERSSON)と、スウェーデン勢がアベック優勝を達成しました。日本勢では男子16位に石田寛雄(Ishida Hiroo)、女子20位に小林華蓮(Kobayashi Karen)が日本勢の最高位として入りました。

チーム代表・小幡利春選手の感想
前日からの積雪とコース変更により雪不足は解消されたレースとなりました。 雪質は会場周りはザクザク、少し上がると踏み固まりやすいコンディション。 小雨でしたが、ユニホームのみでちょうどいい気温。 最初の湖畔周りぼぼ平地で一部アスファルト区間や雪の無いトレイルがありマイクロクランポンが壊れない事を祈りながら進みました。中盤の雪は踏み固められとても走りやすく、急な登りではポールを生かせました。 ピーク付近での岩山はガスってても圧巻でしたが、晴れた岩山を正直見たかったです。 その後の下りはコース変更により緩やかな林道。とても走りやすかったです。 全体的に走りやすいレースでスピードランナー向け。

2024スカイスノー世界選手権・クラシック

WOMEN
1.トーブ・アレクサンデルソン Tove ALEXANDERSSON (SWE) 1:22:18
2. マドレン・カップラー Madren KAPPLER (GER) 1:22:44
3. コリーナ・ジラルディ Ghirardi Corinna (ITA) 1:24:52
20. 小林華蓮 KOBAYASHI Karen (JPN) 1:45:18
22. 齋藤磨実 SAITO Mami (JPN) 1:50:07


MEN
1. マルタン・ニルソン Martin Nilsson (SWE) 1:09:59
2. ルカ・デルペロ Luca DEL PERO (ITA) 1:11:54
3. ティモティ・ベカン Timotej BECAN (SLO) 1:12:26
16. 石田寛雄 ISHIDA Hiroo (JPN) 1:20:00
17. 中嶋純太 NAKAJIMA Junta (JPN) 1:20:35
24. 宮川朋史 MIYAGAWA Tomofumi (JPN) 1:24:30
33. 小幡利春 OBATA Toshiharu (JPN) 1:32:06

コンバインド男子は2大会連続でイタリアのルカ・デルペロが金メダルを獲得 ©DamianoBenedettoPhoto

2種目の合計ポイントで競われるコンバインド(複合)の結果は次の通り。

2024スカイスノー世界選手権・コンバインド(複合)

Women
1. トーブ・アレクサンデルソン Tove ALEXANDERSSON (SWE)
2. マドレン・カップラー Madren KAPPLER (GER)
3. コリーナ・ジラルディ Ghirardi Corinna (ITA)
14. 小林華蓮 KOBAYASHI Karen (JPN)
20. 齋藤磨実 SAITO Mami (JPN)


MEN
1. ルカ・デルペロ Luca DEL PERO (ITA)
2. マルタン・ニルソン Martin Nilsson (SWE)
3. ディエゴ・ディアス Diego Diaz (ESP)
11. 石田寛雄 ISHIDA Hiroo (JPN)
13. 中島純太 NAKAJIMA Junta (JPN)
13. 宮川朋史 MIYAGAWA Tomofumi (JPN)
23. 小幡利春 OBATA Toshiharu (JPN)

国別団体(各種目上位者4名の獲得ポイントの合計)で日本は7位という結果を残しました。

2024スカイスノー世界選手権チームランキング

1. イタリア 628pt
2. ドイツ 544pt
3. ロシアからの中立チーム 498pt
4. スペイン 452pt
5. イギリス 370pt
6. スウェーデン 362pt
7. 日本 336pt
8. ポルトガル 334pt
9. クロアチア 220pt
10. オーストリア 214pt

ISFマリーノ会長と6人の侍たち ©JSA

雪上を駆けるスカイスノー分野において、初の海外遠征となった今回の世界選手権。何もかもが日本勢として初めての体験であり、世界における日本勢の現在位置が明らかとなった大会となりました。

チーム副代表・齋藤磨実選手の感想
エントリーリストには各国のチャンピオンの名前が多数。VKは45度の激坂、ナイトレースでベッドライトを使用。クラシックは直前にクランポンなしから必携、コース変更。この辺は海外レースあるある。初日の疲労が抜けてなくキツイ。この経験を次の世代に繋げるとともに若い選手に体験して貰いたいと思います。

スカイスノー分野はスカイランニングの原点を体現する冬季種目として、将来的な冬季五輪への採用を見据えた動きがISF(国際スカイランニング連盟)主導で展開されるでしょう。次回の世界選手権や今後実施が検討されている世界サーキットにむけて。欧州より遅れている日本国内における環境を発展させていく事が、JSAとしての役割になります。ただし、まずは歴史を切り開いた6名の代表選手の健闘を讃えましょう!!

2024スカイスノー世界選手権日本代表

Sweden, Italy and Germany top the SkySnow World Championships medal count

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