アジアパシフィック選手権が併催されて日本チームは金メダルを獲得した ©嬬恋スカイラン/Toshihiko Kusaka

4月5-6日(土-日)に群馬県嬬恋村パルコール嬬恋リゾートで2025全日本スカイスノー選手権大会(嬬恋スカイスノー)が開催されました。スカイスノーはマイクロクランポンを装着して雪の山岳を駆ける、高所山岳を原点とするスカイランニングを体現する冬季種目として2020年にISFルールに加えられました。日本では嬬恋にて2021年よりJSAが主管する競技会が開催され、全日本選手権としては今回で4回目の開催となります。今回は第1回目となるアジアパシフィック選手権も併催されハイレベルなレースが展開されました。

アジアパシフィック選手権のISF公式ニュース(結果)>>
https://www.skyrunning.com/success-stamps-the-first-asia-pacific-skysnow-championships-in-japan/

バーティカル/VERTICAL

アジアパシフィック選手権、総合ではモンゴルのルヴサンシャラヴ・ナツァグドルジ(以下ルヴサン)が圧倒的な勝利 ©嬬恋スカイラン/日下俊彦

1日目のバーティカル(VERTICAL)は全長3.5km、標高差610m 、標高2,080mに達するコース設定。男子は宮原徹(Miyahara Toru/富士空界)、女子は布施愛里(Fuse Airi)が全日本チャンピオンの座を勝ち取りました。数々の輝かしい成績を残してきたスカイランニング界のレジェンドである宮原徹はスカイスノー初挑戦にして栄冠を手にしました。2024全日本女王の布施愛里も2位以下の若手を振り切って連覇を達成しました。23歳以下のユース部門では新田華寿樹(Nitta Kazuki/Zushi skyrunners)小林華蓮(Kobayashi Karen/古賀志山快速登山部)が金メダルを獲得しました。

男子優勝の宮原 ©嬬恋スカイラン/日下俊彦

男子優勝の宮原のコメント:

スカイスノーという競技は私の勝手な第一印象から敷居が高く関わることのない競技だと思っていました。そんなスカイスノーに出てみようと思ったきっかけは長引く怪我で思うように走れない悶々とした日々を過ごしていた時、たまたま掲載ページが目に入ったことからでした。

スカイスノーはマイクロクランポンを装着すること以外はスカイランニングやトレイルランニングの装備とほぼ同じ。また雪上という柔らかいサーフェスは着地衝撃が少なく子供から大人まで幅広い年齢層で楽しめるスポーツということがわかりました。

日本選手権としてはトップでした。モンゴルの選手からは1分半も空いてしまいましたが、今の全力は出せたのだと思っています。スカイスノー、スカイランニングの新しいジャンルとしてこれからも関わっていけたらと思っています。欲を言えばもっと若いうちに出会いたかった。冬季オリンピック種目になり得る可能性を秘めたスポーツということで、今の若い世代はチャンスと思って是非積極的に参戦して力をつけていただきたいと思います。

連覇を達成した布施 ©嬬恋スカイラン/石井壱国

女子優勝の沢田のコメント:

去年もここのザラメ雪に苦戦しましたが、今年も苦戦しました。また、3月の八海山とは異なり、緩い傾斜の分、しっかり走りこんでいかなければいけないという難しさも感じました。今回は優勝できないと思っていましたが、なんとか優勝することができました。このようなコンディションの中で優勝できたことは自信になりました。日本代表として、次の世界選手権でもよいパフォーマンスが発揮できるように、雪国である北海道のプライドをかけて頑張っていきたいと思います。

ユース男子優勝の新田 ©嬬恋スカイラン/日下俊彦
ユース1位の小林(左)とユース2位の大掛柚奈(右) ©嬬恋スカイラン/日下俊彦

総合女子
🥇布施 愛里(北海道)37:33
🥈小林 華蓮(長野/古賀志山快速登山部)38:17
🥉大掛 柚奈(愛知/SKY TIGER)38:47
総合男子
🥇宮原 徹(静岡/富士空界)29:41
🥈新田 華寿樹(神奈川/Zushi Skyrunners)30:36
🥉山口 大河(東京都)31:21

ユース女子
🥇小林 華蓮(長野/古賀志山快速登山部)38:17
🥈大掛 柚奈(愛知/SKY TIGER)38:47
🥉大掛 莉奈(愛知/SKY TIGER)39:13
ユース男子
🥇新田 華寿樹(神奈川/Zushi Skyrunners)30:36
🥈山岸 大志(神奈川県/Zushi skyrunners)33:50
🥉日下 泰造(群馬県/kiryu sky 481)35:02

全リザルト

クラシック/CLASSIC

アジアパシフィック選手権、クラシック男子トップ3(左から中嶋、ルヴサン、貝瀬) ©嬬恋スカイスノー/石井壱国

2日目は悪天候のため本来のコースの上部半分はカットされ、下半分を2周するコースに変更となりました(距離10km/累積標高差850mのパラメーターは変わらない)。男子は新田華寿樹(Nitta Kazuki/Zushi skyrunners)、女子は大掛莉奈(Ogake Rina/SKY TIGER)が全日本チャンピオンの座を勝ち取りました。男女ともにユース世代(2025ユース日本代表)が日本王者となったクラシック。新田華寿樹大掛莉奈は2種目の合計であるコンバインドでも金メダルを獲得しました。

男子優勝の新田 ©嬬恋スカイスノー/石井壱国

男子優勝の新田のコメント:

私は今回のレースで悔いが残った八海山スカイスノーのリベンジを果たす事を決めていました。
1日目のVERTICALでは力のある選手が多く、自分の力を試す良い機会でもありました。結果としては全日本2位で、自分は全日本で優勝するための練習を積み重ねて来たので優勝できず翌日に絶対にウィーナービブを着てやるという気持ちが強くなりました。2日目のクラシックでは天候が悪くコース変更となりましたが気持ちを切り替えてスタートラインに立ちました。レースがスタートして昨日よりもペースが速いと感じ、始めは自分のペースで少し後ろから様子を伺いレースを進め心拍が落ち着き始めた時に“ココダ!!”と一気に前に出ました。そこからは単独でリズム良くレースを進め、きついと言われていた登り返しで自分のゾーンに入り、キツさを感じる事なく登り返しを終え、下りへと差し掛かりその時はウィーナービブを着る事だけを考えてゴールに向かいました。結果として全日本優勝する事ができ、嬉しく思います。 最後にこの大会に関わってくださったすべての方々に感謝申し上げます。

女子優勝の大掛 ©嬬恋スカイラン/石井壱国

女子優勝の大掛のコメント:

バーティカルでは良い結果が出せなく悔しかったので、クラシックでは優勝しようと思って最初からとばしました。折り返し地点で後続が近いのが見えて、ずっと気が抜けませんでした。でも、そのおかげで自分の力を出し切ることができました。次のレースは上田のバーティカルに出るので、入賞できるように頑張ります。

総合女子
🥇大掛 莉奈(愛知/SKY TIGER)1:11:12
🥈大掛 柚奈(愛知/SKY TIGER)1:12:25
🥉山田 柚野(長野/Ssessionzz)1:13:18
総合男子
🥇新田 華寿樹(神奈川/Zushi Skyrunners)57:39
🥈中嶋 純太(新潟/ECHIGO SKY CLUB)59:16
🥉貝瀬 淳(新潟/ECHIGO SKY CLUB)59:27

ユース女子
🥇大掛 莉奈(愛知/SKY TIGER)1:11:12
🥈大掛 柚奈(愛知/SKY TIGER)1:12:25
🥉山田 柚野(長野/Ssessionzz)1:13:18
ユース男子
🥇新田 華寿樹(神奈川/Zushi Skyrunners)57:39
🥈山岸 大志(神奈川県/Zushi skyrunners)1:03:40
🥉田中 大輝(福井県/TEAM SKY KYOTO)1:04:37

全リザルト

コンバインド&チーム/COMBINED&TEAM

過去最多の参加者となった全日本選手権 ©嬬恋スカイラン/日下俊彦

総合女子
🥇大掛 莉奈(愛知/SKYTIGER)
🥈大掛 柚奈(愛知/SKYTIGER)
🥉小林 華蓮(長野/古賀志山快速登山部)
総合男子
🥇新田 華寿樹(神奈川/Zushi skyrunners)
🥈中嶋 純太(新潟/ECHIGO SKY CLUB)
🥉永田 大岳(長野/Ssessionzz)

ユース女子
🥇大掛 莉奈(愛知/SKYTIGER)
🥈大掛 柚奈(愛知/SKYTIGER)
🥉小林 華蓮(長野/古賀志山快速登山部)
ユース男子
🥇新田 華寿樹(神奈川/Zushi skyrunners)
🥈山岸 大志(神奈川県/Zushi skyrunners)
🥉田中 大輝(福井県/TEAM SKY KYOTO)

チーム優勝の ECHIGO SKY CLUB ©嬬恋スカイラン/石井壱国

TEAM
🥇Echigo Sky Club(新潟)
🥈Ssessionzz(長野)
🥉SKY TIGER(愛知)

SkySnowファミリー! ©嬬恋スカイラン/日下俊彦

2025 冬季シーズンは10-20代の若い世代を中心にスカイスノー(SkySnow)の世界に新たに挑戦するスカイランナーが増加したシーズンとなりました。スカイスノーは冬季五輪を目指す種目として2024ISF総会で位置づけられ、次のシーズンのワールドシリーズや世界選手権の開催も決定しています。氷河や万年雪が残る高所山岳への挑戦が原点であるスカイランニング。その歴史を体現する種目こそスカイスノーであり、今後ますます発展していくでしょう。アスリートや支援者、大会関係者、2025シーズンのスカイスノーの普及に尽力した全ての関係者に御礼申し上げます。

※2025シーズンの振り返りとして、2025 SkySnow Japan Series のレポートは別日に掲載いたします。

嬬恋スカイスノー