40代以上のスカイランナーたちの祭典であるマスターズスカイランニング世界選手権が、10月3-5日、ブルガリア・カルロヴォにて開催されました。日本からは19名の選手が参戦。大会初日の大荒れの悪天候により3種目ともにコース変更(PlanB)での開催となりましたが、LESS CLOUD.MORE SKY(雲外蒼天)のスカイランニングのキャッチフレーズの通り、最終日は晴天に恵まれ締めくくられました。23カ国から公式チームが参加した今大会では、75個のメダル世界タイトルが競われましたが、なんと17カ国がメダルを獲得。これは、スカイランニングの普及により新興国の実力が高まっていることを物語っています。獲得ポイントで競われる団体ではポルトガル・に次いで日本は2位となり、銀メダルを獲得しました。

団体の表彰式 ©Damiano Benedetto / ISF

個人でも日本勢は7人がメダルを獲得しました。初日に開催されたバーティカルでは、Over40男子で宮川朋史(Miyagawa Tomofumi/福井県)が金、Over45女子で合田睦美(Goda Mutsumi/愛媛県)が銀。2日目のスカイウルトラでは、Over45男子で岡田裕也(Okada Yuya/長野県/Ssessionzz)が2大会連続の金、Over40男子で大畑匡孝(Ohata Masataka/静岡県/富士空界)、Over50男子で清水克利(Shimizu Katsutoshi/東京都/sola)、Over55男子で中川善博(Nakagawa Yoshihiro/神奈川県/sola)が銅。3日目のスカイでは、Over55女子の宮坂康子(Miyasaka Yasuko/長野県/守屋山快速登山クラブ)が金メダルを獲得しました。

最終日のSKY種目で降りたての雪上を駆ける、チーム幹事の細木 ©Alexander Valchev

マスターズ日本代表の幹事としてチームをまとめた細木郁生(Hosoki Ikuo/東京都/The Skywolf)は、次のように世界選手権を振り返ります。

マスターズ世界選手権、本日すべての競技日程を終了しました。日本代表チームは団体で2位となり銀メダルを獲得。細木個人は3日のバーティカルでは総合29位(年代別10位)、5日のスカイレースでは総合13位(年代別5位)とメダルには届きませんでしたが、現時点での実力は出し切ってまいりました。皆さん全員完走、持てる力をフルに発揮し、安全登山無事下山で戻って来れたことがまず何よりも嬉しいです。 今回は代表団の幹事として現地の主催者や競技団体との折衝にもあたり(翻訳ソフト頼りでしたが… 英会話やらないと!)、貴重な経験を積むことができました。 ここに御礼申し上げますと共に、今回の遠征で得た経験を今後の競技生活に活かしてまいります。

バーティカルで金、翌日のスカイウルトラでは4位と大健闘の宮川 ©Yanne Golev

初日のバーティカルで金メダルを獲得してチームを勢いづけた宮川は、2回目の出場となったマスターズ世界選手権で受けた刺激を次のように語ります。

バーティカルは、雨で短縮コースとなり、冷たい雨の中でのスタートとなりました。コース序盤のシングルトラックにトップで飛び込みんだものの、4人に抜かれ、その後も数名に追われる展開でしたが、ゴール直前に1人を抜きかえして、総合4位となりました。メダルを逃したと思いましたが、トップ3は何と全員歳上のカテゴリーで、運よくO40で優勝できました。最後までプッシュしてよかったと思います。日本では歳上世代に負けることはほとんどありませんが、負けてショックを受けました。それと同時に「世界には強いイケおじが沢山いる、まだまだ頑張らなければ」と思いました。

本調子でない中でもベストを尽くして快挙を成し遂げた岡田 ©ISF/balkaniadaskyrace

スカイウルトラで2大会連続の金メダル獲得を成し遂げた岡田は、その快挙の裏側も含めて次のように語ります。

今回は、昨年の結果にとらわれず、自分の走りに集中して臨もうとしました。 しかし、天候による直前のコースおよびレギュレーションの変更、そして調整不足の影響もあり、序盤は体調が思うように上がらず、焦りを感じる苦しい展開に。「なんと言って謝ったらよいのか」とまで考えてしまうほどでしたが、「まだ何も終わっていないじゃないか」「一人で走っているわけではないんだ」と自分に言い聞かせ、支えてくれている人たちの顔を思い浮かべることで、少しずつ気持ちを立て直すことができました。 走れることそのものへの感謝を改めて感じながら、レース中盤からリズムを取り戻し、後半は徐々にペースを上げることができました。最終的には、幸運にも昨年に続いてカテゴリー優勝という形でゴールすることができました。 この結果は、心強いサポート、そして現地や日本から応援してくださった多くの方々のおかげです。 また、チームジャパンとしても団体2位という素晴らしい成績を収め、その一員として走れたことを誇りに思います。 今回の経験を通して、新たな学びを数多く得ることができました。 この感動を胸に、さらに成長し続けられるよう努力を重ねていきます。

栄光のフィニッシュに向かうレジェンド宮坂 提供:西山真一(マスターズ日本代表)

※宮坂さんからは帰国後にコメントを頂く予定です👍

レース直前の日本チーム 選手提供

40歳以上の年長者スカイランナーの祭典であるマスターズ世界選手権は、23歳以下のユース世界選手権と同様、毎年開催される予定です。日本代表は前年の全日本選手権・エリート部門の完走者から選出されます(今年の全日本はSKYULTRAは「志賀高原」、VERTICAL・SKYは「湯沢/魚沼」で開催されます)。マスターズ日本代表の活躍に関しては日本国内でも昨年以上の大きな反響があり、これは生涯スポーツとしてのスカイランニングが大きく支持されていることを意味しています。個々の実力だけでなくチームの結束の強さも世界に見せつけた2025日本代表。世界最高峰に挑んだ全ての”達人”に敬意を表します。

2025マスターズ世界選手権 日本代表

ISFニュース(Bulgarian Balkans play host to the Skyrunning Masters where 17 countries took medals)

リザルト

VERTICAL

(O45-WOMEN)
2. 合田 睦美(Goda Mutsumi)00:42:23

(O40-MEN)
1. 宮川 朋史(Miyagawa Tomofumi)00:34:02
5. 高前 直幸(Takamae Naoyuki)00:37:20
15. 西山 真一(Nishiyama Shinichi)00:45:07

(O45-MEN)
10. 細木 郁生(Hosoki Ikuo)00:41:15
13. 村井 理利(Murai Masatoshi)00:43:12

(O50-MEN)
5. 川崎 義孝(Kawasaki Yoshitaka)00:40:32
8. 中山 立(Nakayama Tatsuru)00:43:38

(O55-MEN)
11. 内田 正直(Uchida Masanao)00:49:30

SKYULTRA

(O50-WOMEN)
7. 黒川 芳恵(Kurokawa Yoshie)08:55:06

(O40-MEN)
3. 大畑 匡孝(Ohata Masataka)06:16:03
4. 宮川 朋史(Miyagawa Miyagawa)06:16:48

(O45-MEN)
1. 岡田 裕也(Okada Yuya)06:34:48
5. 小野田 誠也(Onoda Seiya)07:09:54

(O50-MEN)
3. 清水 克利(Shimizu Katsutoshi) 07:00:01
8. 静 貫太郎(Shizuka Kantaro)07:38:08
14. 中山 立(Nakayama Tatsuru)08:34:02

(O55-MEN)
3. 中川 善博(Nakagawa Yoshihiro)08:40:37
5. 岩瀬 史明(Iwase Fumiaki)09:32:31

SKY

(O55-WOMEN)
1. 宮坂 康子(Miyasaka Yasuko)04:26:04

(O40-MEN)
10. 西山 真一(Nishiyama Shinichi)03:45:44

(O45-MEN)
5. 細木 郁生(Hosoki Ikuo)03:25:46
9. 村井 理利(Murai Masatoshi)03:45:52

(O50-MEN)
5. 川崎 義孝(Kawasaki Yoshitaka)03:30:42

(O55-MEN)
7. 山本 隆二(Yamamoto Ryuji)04:31:04
12. 内田 正直(Uchida Masanao)05:09:33

2025マスターズ世界選手権