冒頭の写真は2015年にイタリアアルプスのブライトホルンで実施されたテストレースでの1枚 ©Fabio Mennino

新年、明けましておめでとうございます。

2024年を振り返る


2024年は「挑戦なくして成長なし」という言葉に集約される1年となりました。雪上種目であるスカイスノーにおいては「挑戦」の年でした。私たちはイタリアで開催されたスカイスノー世界選手権に初参加し、本場・欧州勢との実力差を初めて知ることができました。2014年から挑戦し続けてきた山岳種目においては「成長」の年となりました。3つの世界選手権(マスターズ世界選手権、ユース世界選手権、世界選手権)において、複数の個人入賞及び団体3位以内という成績を歴史に刻むことができました。挑戦の積み重ねは人や組織を高みへと至らしめます。第1歩を踏み出せたスカイスノーの10年後は楽しみであります。

ISF(国際スカイランニング連盟)としても、挑戦に踏み出す年となりました。9月にスペインで開催されたISF総会では、IOC(国際オリンピック委員会)が承認する独立公認スポーツ団体連合 (AIMS) への加盟について協議されました。その中で、スカイスノーの冬季五輪への採用を目指すことが確認されました。AIMSへの加盟はスカイランニング競技が五輪へ採用されるために欠かせないプロセスとなります。他団体に従属することなく、自律してこのスポーツの価値を高め続けようとするISFの挑戦。私達自身の成長のためにも、可能な限り応援していくべきと考えます。

世界選手権には過去最多の41カ国が参加 ©Chris_alonso
世界のISF会員 ©Chris_alonso

2025年とその先を読む


2025年は国内の競技会の国際化がいよいよ本格始動します。まず4月上旬に記念すべき第1回目となるスカイスノーアジアパシフィック選手権群馬県嬬恋村で開催されます。また、5月にはスカイランナーワールドシリーズ長野県上田市で開催されます。アジアにおけるワールドシリーズ戦は、他にもマレーシア・韓国・トルコでも開催されますが、アジアの雄である日本での”開催復活”は世界各国より歓迎されています。海外では、8月にイタリアでのユース世界選手権、10月にブルガリアでのマスターズ世界選手権が開催されますが、ここでも日本勢の活躍が大いに期待されます。

少子化と人口減少の進む日本国内においては、各スポーツの競技人口は頭打ちとなっており、水面下では未来のスポーツ愛好者の争奪戦が繰り広げられているわけであります。持続可能なスポーツにするためには、各地の担い手であるクラブチームの設立・発展が欠かせません。同時に、ジュニア交流大会のような次世代が主役となる機会を用意していくことも必要です。スカイランニングは世の中に様々あるレクリエーションやスポーツのうちの極一部にすぎませんが、「自分の脚でファスト&ライトに最高峰の頂を目指す」という挑戦のスタイルは唯一無二のものであります。高みを目指し続けるスカイランナーが社会に一定数存在するということは、日本社会・地域社会を活力あるものにつながると確信しております。

100年以上前から続く登山競走文化を受け継ぐ山岳(スカイランニング)のみならず、新しいジャンルである雪上(スカイスノー)階段(ステアクライミング)の愛好者も着々と増えてきてます。季節やフィールドを問わず多様な駆け登り文化をこの国でも発展・継承させていくという、当協会の役割を全力で尽くしてまいります。温かい声援を送っていただいているファンの皆様、協賛をいただいている企業の皆様、そして日本のスカイランニングを支えていただいている加盟団体、協力団体の皆様には心から御礼申し上げますとともに、本年もより一層のご理解ご支援をお願いいたします。

スカイスノーアジアパシフィック選手権が開催 ©嬬恋スカイラン
3月にはステアクライミングのジュニア交流大会が初開催 ©MEETING

日本スカイランニング協会

代表理事 松本 大