最高峰の頂へ、谷や海から、街や村から、どれだけ短い時間で登ることができるだろうか。登山者であればもつであろう、自然なロジックから生まれた快速登山が「スカイランニング」というスポーツです。世界最古の記録会は1895年にイギリスのベン・ネビス山で始まりました。日本では1913年に静岡県御殿場市で開催された富士登山競走までさかのぼります。
1992年、イタリアの登山家マリーノ・ジャコメッティは、世界中で自然発生的に開催されていたこの種のスポーツを「スカイランニング」と定義づけ、1995年にスカイランニングの競技団体である高地スポーツ連盟(FSA)を設立しました。1998年には第1回世界選手権がイタリアのチェルビニアで開催され、2003年からはスカイランナー・ワールド・シリーズ(SWS)がスタートしました。2008年に現在の国際スカイランニング連盟(ISF)へと組織を刷新し、2016年1月には国際山岳連盟(UIAA)とパートナーシップ協定を結んだことで、国際的なスポーツとしてより強力に普及するための環境が整いつつあります。現在、50以上の国と地域にISF加盟団体が存在し、世界各地で200以上の公式戦が開催され、参加者は65カ国より50000人を数えます。
日本では、2006年にワールド・シリーズ戦として開催されたOSJおんたけスカイレースによって、スカイランニングという概念が広まりました。協会設立の中心となったのは、欧州と同等のスポーツ環境を日本国内にもたらしたいという志をもったアスリートたちでした。2013年に日本スカイランニング協会(JSA)が設立され、2014年にISFへの正式加盟を達成しました。
2015年より全日本選手権、及び、国内シリーズ戦であるスカイランナー・ジャパン・シリーズ(SJS)がスタートしました。また、新たな種目として、2022年より雪上を駆け登るスカイスノー、階段を駆け登るステアクライミングの全日本選手権や国内シリーズ戦もスタートしました。現在、20以上の公認レースが日本各地で開催されており参加者は10000人を数えます。