日本にはいくつの山があるかご存知でしょうか? 国土地理院発行の2万5千分の1地形図に記載されているもので16667座(「日本山名総覧」武内正著 白山書房刊)。その他の山を含めると諸説ありますが18000座ほどあるそうです。そのうち、標高3000m以上の山は21座(23座・27座などの説もあるようです)、標高2000m以上になると642座(これも様々な数え方があるようです)、標高1000m以上の山はそれこそ数えきれないほど聳えています。全ての山に快適な登山道があるわけではありませんが、山の数だけ・ルートの数だけ多様な登山を楽しめるわけです。
スカイランニングは、競技や挑戦だけでなく登山スタイルのひとつとしても世界では認識されており、ファスト&ライトな日帰り快速登山のことを指します。❶まずは十分な装備を背負ってゆっくり歩いて登ることから始める。一般的な登山が安全にできる技量や資質を得た次の段階で、❷不必要な装備を削って重量を軽くすることで自ずと行動時間を短縮していく。そして、❸行動時間の短縮は登山の安全性の向上につながる。これぞ歴史的にも正攻法のスカイランニングの究め方であり、別の言い方をすれば、究極の安全登山スタイルのひとつがスカイランニングともいえるでしょう。

2025シーズンの山岳遭難発生件数は過去最多を記録しており、この夏も高い頻度で山岳遭難のニュースが報じられています。長野県警(https://www.pref.nagano.lg.jp/police/sangaku/)によると、2025年(1月1日~8月3日)の長野県内での山岳遭難発生件数は205件であり、死者は30名。30名のうち18名が転滑落による死亡。70歳以上の高齢者が最多であるもの、50代以下も15名が死亡しています。山岳遭難事故の増加を受けて、7月にはスポーツ庁から「夏山登山の事故防止について」の通知が出されています。また、8月にはトレイルランニングの団体からは「高山を安全に楽しむための注意事項」も発表されております。

どのようなスタイルであれ、山岳に入れば誰にでも危険はつきものであり、守るべきルールやマナーもあります。JSAホームページ(https://skyrunning.jp/safety/)に掲載されている「快速登山の注意点」「山を楽しむための6つの約束」は登山の基本になりますので是非ご確認ください。グループ山行を予定している責任者は「快速登山安全チェックリスト」も活用しましょう。

標高2000m以上の高所山岳でのスカイランニング(快速登山)は、ビギナーがその日に始めることができる敷居の低いスポーツではなく、スキーや登山やオリエンテーリングやトレイルランなどの各種”斜面系スポーツ”を通じて段階的に技量を高めて到達できるスタイルであります。現在の日本では、独学で始めるよりも、経験豊かな仲間を頼る手段もあります。JSAには各地に加盟クラブチームが存在していますので、そのクラブの練習会等に参加して技量を高めていく方法もあります。また、毎年春季にJSAが実施しているリーダー研修会を受講したJSA公認指導員がいますので、資格保有者が率いる練習会・講習会等に参加することをお勧めします。

素晴らしい山岳(その数18000座ほど!)に恵まれた日本。日本は国土の多くを山が占めており、日本人は古くから山に対し畏敬の念を抱いてきました。山に親しみ、山について考え、山の恵みに感謝する日として、2016年に山の日は制定されました。今年もそれぞれが思う山頂を目指してみましょう。皆が安全に!皆が楽しく!