夏山登山の注意点【6-8月頃】

[前提]多くの登山客で賑わう夏山でも、多くの危険と隣り合わせ

梅雨が明けると本格的な夏山シーズンとなります。7月~9月上旬のシーズンは、標高2000m以上の高山でも雪が無くなり(場所によっては遅くまで残っていることがあります。要注意!)、天候さえよければ快適な登山を楽しむことができます。しかし、下界の気温が上昇して天候が急変しやすい夏は、山岳遭難の危険が高まる季節であります。「他の登山客がいるから大丈夫」という認識は危険を招きます。毎年全国で2000件を超える山岳遭難が発生し、300人を超える死者・行方不明者が出ています。

[行動時間]

「午前中の行動」が常識です。夏山は毎日落雷があると思ってください。標高2000m以上の山々では14:00がタイムリミットです。早いときには12:00前から雷が鳴りはじめることもあります。稜線や山頂での行動は12:00がタイムリミットです。10:00ごろには山頂に到達できるようなスケジュールで行動しましょう。朝早ければ早いほど余裕を持って行動ができます。

[万が一のとき]

❶落雷・突風
尾根や山頂が危険地帯です。岩陰に隠れて身体を伏せてください。金属を身につけているかどうか関係ありません。とにかく低い姿勢で伏せることが生き延びる可能性を高くします。

❷落石
谷間や横移動の際、特に雨の後が危険です。音に注意するためにラジオや音楽は消してください。落石の音がしたら、視界の良い場所では目視をしてカニのように横移動をして直撃を避けます。視界が悪い場所や急峻な場所では岩陰に身を隠して直撃を避けます。また足元の石や岩を落とすなどの落石を起こさないこともとても大切です。

❸低体温
急な雨の後に急激に気温が下がることがあります。標高3000mは下界よりも20度気温が低いです(100m上がると0.6度気温が下がります)。天候の悪い日は絶対に行動しないでください。

❹滑落
ハイシーズンは登山者が込み合っており、登山道が狭くなっている場合があります。登山道を譲り合いましょう。また写真を撮るために後ずさりする行動は非常に危険です。

❺道迷い
濃霧時に危険が高まります。ルートを見失ったらまずは引き返してください。濃霧時はむやみに動き回らないほうが得策です。ルートが見つからない場合は尾根や山頂を目指してください。谷間の方向に下ることは自殺行為です。体力的に疲れている場合はその場にとどまって救助隊を呼びましょう。ビバークする場合は風の当たらない岩陰に隠れてエマージェンシート等に包まってください。

その他
夏山では毒虫・毒草の被害も頻発します。また多数の登山者が入るため盗難などの危険もあります。

[登山の前に]スカイランナーは登山者の一員です

・事前に現地の最新状況をインターネットなどで調査をしてください。
・家族や知り合いにスケジュールを知らせ、登山届けを提出してください。
・地図でルート(エスケープルート・地名・山小屋・水場など)を確認してください。
・ルートの距離・標高差・累積標高差を確認して何時間かかるか想定をしてください。
・想定に応じて、持ち物やタイムスケジュールを決めてください。
・自分で考えられない場合や少しでも不安がある場合は山に行かないでください。
・天候が悪い場合や天候が下り坂の場合は山に行かないでください。

安全登山に関する資料
快速登山安全チェックリスト(PDF)

安全登山のためのチェック項目をまとめました。練習会等でもご活用ください。


山を楽しむための6つの約束(PDF)

基本のルール・マナーをシンプルにまとめました。初心者や子供たちへの教育等にもご使用ください。


快速登山の注意点【季節毎】(PDF)

季節ごとの危険性をまとめました。遭難予防の予備知識として知っておくべきことです。


安全登山のページ(JSA公式ホームページ)

山の事故を防ごう!登山を楽しむために知っておきたい安全対策(政府広報)

知識・解説「火山」(気象庁)
JSAリーダー研修会(審判員・指導員)

安全なスポーツ環境を整えるために、JSAでは毎年春季にWEBセミナー形式(一部、実地形式)でJSA公認リーダーの養成を目的とした研修会を実施しております。競技審判員研修安全指導員研修、の2つの研修が実施されます。スカイランニングの競技会の企画運営、または、練習会等の指導を行なう場合、資格の保有は必須条件となります。研修会の受講に関してはJSA公式ニュースをご確認ください。