11月21-22日、台湾の台北市において、今夏、ISF(国際スカイランニング連盟)に準加盟を達成した台湾トレイルランニング協会(TTRA)との交流イベントが開催されました。大会ゲスト選手含め15名のJSA登録選手が参加。1日目は、台北市内のアウトドアスポーツ店での交流トークイベントを行い、2日目は台湾協会主催のトレイルランニングレース「2025 Shilin Rock Trail(士林越野)」に参戦し、日台相互の親睦を深め合いました。


今回の交流会は、今夏に台湾協会のISF加盟が達成したことが契機となりました。まず、8月には群馬県で開催された嬬恋スカイランに台湾協会のメンバーの4名が参加しました。次は、日本から台湾へということで、両協会から相互に提案があり、11月の台北遠征が実現しました。

TTRA代表の周青(Chou Ching)さんは次のように日台交流の意義を語ります。
台湾は、豊かな高低差とテクニカルな山岳地形を有し、スカイランニングの発展に非常に適した環境です。 今回、JSAを台湾に招待できたのは、将来的に台湾と日本の交流をさらに深め、若い選手を育成し、国際大会への参加を促したいという私たちの願いの表れです。 この目標を、これからも追求していきたいと思っています。
JSA代表の松本大(Matusmoto Dai/群馬県)は国際交流の展望を次のように語ります。
日々進歩している世界のスカイランニングにおいて、日本の”底力”を上げ続けるためには、地理的に近いアジア太平洋諸国と連携しての普及・強化は重要な取り組みとなります。国際交流において、最初の重要拠点として台湾を選んだのは理由があります。まず、3000m級の山岳が200座以上も聳える台湾はスカイランニングに適した地形を有しています。次に、日本のオフシーズンである冬季に、台湾の山岳ではレースが開催され、実戦的なトレーニングを積むことができます。つまりは、相互に高め合いのできる地理的な条件があります。そして、スカイランニングの普及・強化をしたい、世界へ挑戦をしたいという「同志」が台湾にはいます。JSAとしては、日台の連携を柱にしながら、アジア太平洋地域におけるISF加盟協会との選手交流を活発化させていく方針です。


50km男子で優勝した市毛富士雄(Ishige Fujio/The Skywolf/東京都)は初参戦となった士林ロックトレイルのコースを次のように振り返ります。
初めての台湾、初めての台湾の山岳レースでとてもワクワクした気持ちでスタートラインに立てました。事前情報ではコースのgpxの累積標高が2,200mほどでしたので、スピードを出しやすいコースなのかと思いきやロープを使う岩陵地帯の上り下りがあったり、犬に追いかけられたり、そして累積標高は結局3,300mほどあり、かなりハードなコースでした! 個人としては後半のペースダウンが課題でしたが、前半の貯金を使い切りなんとか優勝することができたので良かったです。 貴重な機会をを与えてくださった大会運営の方々、日本スカイランニング協会のみなさま、ありがとうございました!

大会ゲスト選手として参加し、50kmの女子で優勝した枝元香菜子(Edamoto Kanako/石川県)は、スポーツを通した国際交流の意義を次のようにコメントします。
志賀高原でのレースの際に、周青さんから招待のお話をいただいたことがきっかけで、今回初めての台湾でのレースに参加させてもらいました。前日には交流トークイベントも開催され、台日の親睦が深められました。自己紹介では、台湾の友人に教えてもらった中国語で挨拶できて良かったです。
レースは、地図や高低図からは見えなかった登り下りに加え、岩、階段、滑りやすい急下りなどアドベンチャー要素満載なコースにかなり苦しめられました。事前のコース情報では標高差2,800mとなっており、ある程度は走れるコースかなと思っていたため、前半飛ばしすぎて最後の登り返しでは大失速。「累積が3,300m以上あったよね」とレース後、皆で時計を見ながら苦笑いしたくらい、予想以上にハードなコースでした。しかし、ゴールでは沢山の方に出迎えもらえ、また山からは素敵な景色を眺めたり、エイドではドラゴンフルーツを沢山食べたりと初めての台湾トレイルを満喫できました!你好、謝謝、加油などと言いながら選手やハイカーさん、応援の方々に挨拶するのも新鮮でした。
スポーツは、言語、人種、政治、宗教、地位等関係なく、繋がることができる素晴らしいものだと思います。新たな出会いや再会により世界が広がり、それは次へのモチベーションにつながると思っています。今回の遠征を通じ、選手として、また人として成長するためにも、国内だけでなく海外のレースにも参加をして、様々な選手と交流し、互いに高め合っていくことは重要だと改めて感じました。同時に、これからも走れる喜びと感謝の気持ちを忘れず、競技を続けていきたいなと強く思いました。


台北出身で日本在住のスカイランナーである林烜德(Lin Xuande/SKY NINJA/東京都)は、レース後の日本選手団の打ち上げをコーディネートしてくれました。
自分の母国のイベントで日本からの選手をレース以外のサポートもできたらなと思って臨みましたがまさかこんなたくさんの人が来てくれて非常に嬉しかったです。 天気にも恵まれて台湾の特徴が溢れる大会でみんないい思い出残してれば自分の役目は果たしました。また今後も自分を精進しながら日本と台湾のスカイランニングの発展に貢献していきたいと思います。

JSAと近隣協会との国際交流イベントは2026年以降も随時企画していく予定です。なお、アジア太平洋地域のISF加盟国は次の12の国・地域となります。
オーストラリア・台湾・香港・インド・日本・韓国・モンゴル・ネパール・ニュージーランド・パキスタン・フィリピン・UAE













