6月15-16日に日本スカイランニング発祥の地、富士山御殿場市にて「ユース合宿in富士山」が開催されました。
この合宿はユース世代の交流を深めるとともに、富士山と周辺山域の豊富なコースプロフィール・サーフェスを活かして登山技術の向上と、世界選手権に向けた高地順応を目的に行われました。
初日は2.8km D+1000mとワールドクラスのコースプロフィールを誇る毛無山(1945m)にてレースを想定したウェーブスタート方式でタイムトライアルを実施。
雨でさらに難易度の増した岩場や、経験したことのない斜度に苦戦しながらも全員無事登頂。今までとは違う体の負荷に、ユースそれぞれが課題を見つける良い機会となりました。
テクニカルな下りでは講師の松本 大氏、星野 由香理氏より路面の選び方、疲労を軽減する体の使い方をご指導いただきました。
まだまだ下りに恐怖心の残るユースもいましたが、安全に早く下山する技術をまた一つ学ぶことができ、世界を知る講師たちの下りに感動しながらも、各自がその技術を少しでも習得しようと積極的に質問する姿が印象的でした。
夜には講義を実施し知識向上を図りました。
安全環境委員会の木村 卓哉氏より「安全登山」、松本 大氏より「This is SKYRUNNNING」、パフォーマンスコーディネーターの藤本 隆靖氏より「補給」、ユース委員会の涌嶋 優氏より「レースプランニング」、星野 由香理氏より「世界のスカイランニング」と充実の内容で行われました。
「安全登山」では翌日の天気予報から山の天候を予測・判断し、必要な装備とその根拠は何かをグループ討議で学びました。発表を通して高山特有の天候や装備の知識も共有し、自分にはない安全の考え方もよい参考となったようでした。
「This is SKYRUNNING」ではKilian Jornet氏のDVDを鑑賞し、スカイランニングの起源や歴史、マインドについて再確認しました。その衝撃的で美しい映像からスカイランニングという文化を改めて学んだユースからは「これがSKYRUNNINGか・・・」と感嘆の声も聞こえましたが、それ以上にワクワクした表情が嬉しいひと時でした。
「補給」の講義では普段レースで摂っている補給食とその使い方、含まれる栄養素が体に及ぼす影響、必要カロリー数の計算方法について学びました。運動のメカニズムやからだ作りのための栄養学も同時に学ぶことができ、レース・トレーニングにおいても重要な知識を習得できました。また補給で失敗した経験のあるユースからは積極的な質問も見られ、今後のレースでの改善が楽しみな盛り上がりでした。
「レースプランニング」では支給された地図へ登山工程からコース図・高低図を作成、レースと仮定して補給・サポートの使い方を判断し、最終的なゴールタイムを予想。
天候条件や標高、個人の適性や路面の状況など様々な情報をレースプランに反映する難しさと大切さを学ぶことができました。
また昨年、小川 壮太氏に講義いただいた「目標設定へのアプローチ」についても学び、自分に合った目標設定と目標を達成するための行動、緻密なレースプランが結果につながることを再認識しました。
「世界のスカイランニング」では写真を見ながら実体験を交えて、スカイランニング・ユースへの熱い想いをお話しいただきました。多くのユースが苦戦した毛無山のVK練習を振り返り、急傾斜・大きな段差・岩場における体の使い方のアドバイスもあり、ユースのウィークポイントに的確なヒントをいただきました。
世界を転戦する中で得た知識や、世界のスカイランナーとの交流、国外の山の魅力など貴重な経験を聞いてユースの目も世界に向いたようで、国内だけでなくいろんな国でスカイランニングを深め、文化を築いていってほしいものです。
2日目は世界選手権に向けた高度順化を含むスカイレース対策を行いました。宝永山周辺での活動予定でしたが強風のため予定を変更し、水ヶ塚公園~宝永第二火口縁(2400m)までのVKと標高2000m付近でのツーリングを実施。
VKのゴール地点は宝永山の火口と駿河湾・相模湾を一望できる絶景スポット。富士山・宝永山を初めて登山したユースも多く、1日目の疲労も忘れ絶景の中を空に向かって駆け登りました。
登りでは富士山特有の砂礫に足をとられ大苦戦でしたが、下りは火口の縁を森林限界のラインに向かって軽快に駆け下り、二ツ塚周辺まで標高差600mの爽快なダウンヒル。
その後補給を行い二ツ塚上塚でユース練習会名物のチームインターバルを実施。
罰ゲームはこちらもユース練習会名物「天空のバービースクワット」。
全員が全力で楽しみながら最後の追い込みをしっかりとやり切りました。
ダウンヒルでは砂礫特有の重心位置、接地方法についてのレクチャーがあり、未体験のスピードをコントロールしようと必死に体を動かし、それぞれが路面状況に応じたダウンヒルのスキルアップを実感したようでした。
本合宿はユース委員会の企画・運営にて実施され、国内でも数少ないワールドクラスのコースへのチャレンジ、多くの実践的な講義、国内でも限られた高地環境でのトレーニングと非常に有意義な2日間でした。
今回開催にあたり、現地調査~当日のスイーパーまでサポートいただいた富士空界の皆様をはじめ、北は北海道、西は京都まで遠路遥々参加いただいた皆様、貴重なお時間いただいた講師の皆様、水の荷揚げや救護対応までサポートいただいたスタッフの皆様、ユースのからだづくりのためにアスリートフードをご提供いただいたcafeましこびと様に厚く御礼申し上げます。