Columbia montrailの提供による2018スカイランナージャパンシリーズ(通称“SJS”)は日本各地において熱戦が繰り広げられました。また、スカイランニングを愛する“快速登山者”たちも大勢が参加しました。参加者のシリーズ総計4101名(SKYシリーズには3118名、VKシリーズには983名)。シリーズ全9戦の総距離は127km。獲得標高差は15400m。シリーズ戦はひとつの長い長いレースであります。
1913年に静岡県御殿場市で開催された富士登山競走から始まった日本におけるスカイランニングの歴史が、またひとつ積み重ねられました。多くのドラマがあり、若者たちが憧れるヒーロー・ヒロインが誕生しました。しかし、今までのレポートでは素晴らしい成績を残した全員を紹介できたわけではありません。実は、シリーズ戦だからこそ浮き出てくるヒーロー・ヒロインたちの姿がランキングには隠されています。ここでは主観を入れずに統計に注目しながら、2018SJSを振り返ってみましょう。
個人ランキング。ウィナービブを獲得したのは合計8名のアスリート。最多は宮原徹(Toru Miayahara)と高村貴子(Takako Takamura)の4枚。吉住友里(Yuri Yoshizumi)が3枚。上田瑠偉(Ruy Ueda)と立石ゆう子(Yuko Tateishi)が2枚。五郎谷俊(Shun Gorotani)、星野和昭(Kazuaki Hoshino)、牛田美樹(Miki Ushida)が1枚となります。VKとSKYの両方でウィナービブを獲得したのは、日本選手権チャンピオンである上田瑠偉(Ruy Ueda)と高村貴子(Takako Takamura)のふたり。
通算勝利数で最多は、宮原徹(Toru Miyayara)の14勝。次いで、吉住友里(Yuri Yoshizumi)の13勝、高村貴子(Takako Takamura)の9勝、上田瑠偉(Ruy Ueda)の7勝。年間通算勝利数(シリーズチャンピオン)では、SKYで3勝の牛田美樹(Miki Ushida)とVKで3勝の宮原徹(Toru Miyahara)が最多。次いで、SKY2勝の高村貴子(Takako Takamura)とVK2勝の吉住友里(Yuri Yoshizumi)。彼・彼女らは全てのスカイランナーから称えられるべき真のトップアスリートたちです。詳しくは今までのレポートをご覧ください。
次は、シリーズを通してのヒーロー・ヒロインの出番です。2018シーズンは20位以内がシリーズポイント獲得という厳しい設定となりましたが、複数回(2戦以上)でポイントを獲得したのは、VKシリーズで35名(女子12名、男子23名)、SKYシリーズで24名(女子6名、男子18名)となります。そのうち、VKシリーズ全5戦でポイントを獲得したのは男女合わせて6名。須藤吉仕子(Kishiko Suto)、高村まゆみ(Mayumi Takamura)、宮原徹(Toru Miyahara)、永里剛城(Goki Nagasato)、藤飛翔(Tsubasa Fuji)、今井洋二(Yoji Imai)。SKYシリーズ全4戦でポイントを獲得したのは松本陽介(Yosuke Matsumoto)が唯一!!
VKとSKYの両シリーズ(※地域選手権は除く)においてポイントを獲得した選手は26名(女子13名、男子13名)。ポイント獲得レース数で最多は須藤吉仕子(Kishiko Suto)の8戦。次に、藤飛翔(Tsubasa Fuji)、宮川朋史(Tomofumi Miyagawa)の7戦。続いて、高村貴子(Takako Takamura)、鈴木龍弥(Ryuya Suzuki)、服部一輝(Kazuki Hattori)、永里剛城(Goki Nagasato)の6戦。
2017年から始まった年代別のマスターズ(年代別)ランキング。20~60代の各年代における10位以内がポイントを獲得できます。VKシリーズ全5戦で年代別ポイントを獲得したのは16名(女子2名、男子14名)。60代では、須藤吉仕子(Kishiko Suto)、内田正直(Masanao Uchida)、田島篤(Atsushi Tajima)。50代では、高村まゆみ(Mayumi Takamura)、長川原滋(Shigeru Nagakawara)、関野智勝(Tomokatsu Sekino)。40代では、今井洋二(Yoji Imai)、浦野正紀(Masanori Urano)、ルブラスエルワン(Erwan Le Bras)。30代では宮原徹(Toru Miyahara)、宮川朋史(Tomofumi Miyagawa)、石崎智己(Tomomi Ishizaki)。20代では、永里剛城(Goki Nagasato)、藤飛翔(Tsubasa Fuji)、鈴木龍弥(Ryuya Suzuki)、服部一輝(Kazuki Hattori)。
VK5戦中4戦でポイントを獲得したのは9名。60代は宮下弘文(Hirohumi Miyashita)。50代は木下久美(Kumi Kinoshita)、近江忠仁(Tadahito Oumi)、日下田伸(Shin Higeta)。40代は岩楯志帆(Shiho Iwadate)、有馬優仁(Yuji Arima)、小倉良太(Ryota Ogura)。30代は相良孔太(Kota Sagara)。20代は八田康裕(Yasuhiro Hatta)。
SKYシリーズ全4戦で年代別ポイントを獲得したのは4名のみ。60代は須藤吉仕子(Kishiko Suto)。40代は吉田岳生(Takeo Yoshida)。30代は星野和昭(Kazuaki Hoshino)と松本陽介(Yosuke Matsumoto)。
SKY4戦中3戦でポイントを獲得したのは11名。60代は内田正直(Masanao Uchida)。50代は安藤雅夫(Masao Ando)。40代は安田隼人(Hayato Yasuda)、ルブラスエルワン(Erwan Le Bras)、田中耕造(Kozo Takana)、宮本和夫(Kazuo Miyamoto)。30代は宮川朋史(Tomofumi Miyagawa)、工藤祐輔(Yusuke Kudo)、小寺教夫(Norio Kodera)。20代は遠藤健太(Kenta Endo)、大屋明久(Akihisa Oya)。
最後に、2018年から開始したクラブチームのランキングについて。総合成績では富士空界(Fuji Sky)が圧倒的な強さをみせました。しかし、SJSポイント獲得者数だとそれほどの差はありません。トップは富士空界(Fuji Sky)の9名ですが、2番手にSC丹沢秦野(SC TANZAWA-HADANO)とSKY TIGER(スカイタイガー)の7名。人数では僅差でした。以下、SKY NINJA(スカイ忍者 上田&吾妻)が6名。Bukka Sky Club(仏果スカイクラブ)とオリエンティア軍団(Orienteer-Gundan)が4名。Kiryu Sky 481(桐生スカイ481)が2名。Niigata Sky Club(新潟スカイクラブ)が1名。
ただし、ここで紹介した尺度が全てではありません。見る方向が違えば山容が変わるように、尺度を変えれば様々なヒーロー、ヒロインが登場します。ぜひ、自分なりの尺度で判断できる力をスカイランナーの皆さんには養っていただきたいです。そして何よりも、頂を目指した全員が無事下山できたことこそ、スカイランニングという山岳スポーツにとって最も大切であり、全員が称えられるべきことであります。2018SJSに関わった全ての方々に心より御礼申し上げます。
最後に、このシリーズを支えてくださったJSAプレミアムパートナーのColumbia Montrail様、そして、ランキング作成を担当した細田高裕さん、ルブラスエルワンさん、相良孔太さんに心より感謝申し上げます。2019SJSカレンダーは2019年1月4日に発表予定です。来年も仲間たちと共にSKYを目指しましょう。どんよりとした雲を突き抜けた先にある、あの輝く場所へ。LESS CLOUD.MORE SKY!