7月7日(土)に、フランスのスキーリゾートであるヴァルディゼールで開催されたワールドシリーズ戦ハイ・トレイル・ヴェノワーズ(High Trail Vanoise)にて、星野由香理(Yukari Hoshino)が9位に入賞しました。同大会はフランス有数の山岳レースとして知られ、毎年、世界シリーズ戦として各国から強豪選手が集結する大会です。星野の世界シリーズ戦トップ10入りは、2016年5月のポルトガル・マデイラ島の大会以来2年ぶり2度目となります。

スカイランナーワールドシリーズ戦、2度目のトップ10入りを果たした星野由香理
スカイランナーワールドシリーズ戦、2度目のトップ10入りを果たした星野由香理

コースは「ハイ・トレイル」というその名の通り、残雪の高所山岳を駆け巡る難易度の大会設定となっています。標高1800mのヴァルディゼールをスタート後、まずは標高3656mまで登り、一度山麓までに下ります。次に標高2800mまでのぼり、再び山麓へ。最後は、標高3190mまで登ってヴァルディゼール街まで下る、70km±5400mという設定。さらには、コース全体の3分の1が雪上という、日本では体験できない本格的な山岳レースです。

朝日を受けながらの雪上登山レースだ
朝日を受けながらの雪上登山レースだ

朝4時の真っ暗な中、選手たちはスタート。空が明るくなったころから、コースも雪上へと変わってきて、チェーンスパイクを装着しての高所山岳の登山が始まります。コースの最高地点、標高3565mのGRANDE MOTTE山頂直下では岩と雪の急斜面をロープを使いながら登攀。中盤以降になると日差しも強くなり、選手たちも消耗戦となりますが「私の周りのランナーたちもみんな辛そうで、それに比べたら私はまだ脚が動いている方でした」という星野は、後半に順位を上げて、見事トップ10以内の9位でゴールしました。

このレースの「三種の神器」だったという、チェーンスパイク、サングラス、ポール
このレースの「三種の神器」だったという、チェーンスパイク、サングラス、ポール

この美しくも過酷な山岳レースの女子の部で優勝したのは、低地のオランダ国籍ながら過去の世界戦で優勝もしているラーニャ・デバッツ(Ragna Debats)。10時間05分というタイムは、2位以下を30分以上離しての圧勝でした。星野はトップ選手より+3時間弱の13時間02分でした。ただし、地元フランスの選手で星野より先にゴールした選手は皆無。これほどの本格的な山岳レースでアジア勢として上位に入ったのは日本のスカイランニング史に刻まれるべき快挙であるといえます。

世界レベルの実力といえる星野、世界選手権での活躍も楽しみだ
世界レベルの実力といえる星野、世界選手権での活躍も楽しみだ

「今まで「70km」というレースはたくさん出てきましたが、今回の High Trail Vanoiseはどの70kmレースよりもキツくて、過酷で、面白いレースでした。レース中のどこにいても本当に素晴らしい絶景が見渡せて、日本では考えられないようなルートを通り、すごく刺激的な大会でした。」という感想の星野。2018シリーズを転戦する長い長いレースはようやく前半戦を終えました。今後は9月のピレネー(スペイン)と10月の最終戦ピリン(ブルガリア)に参戦し、年間ランキングの上位を狙っていきます。さらに、スコットランドでの世界選手権には日本代表として出場。日本人が誰も体験したことのない世界に挑み続ける星野に、これからも応援をお願いします!!

世界のスカイランニングはどれも美しい山岳が舞台で開催されている
世界のスカイランニングはどれも美しい山岳が舞台で開催されている

High Trail Vanoise results
Men

1.Dmitry Mityaev (RUS) – 8h40’45”
2.Christophe Perrillat (FRA) – 9h00’44”
3.Ludovic Pommeret (FRA) – 9h00’44”
4.Franco Collé (ITA) – 9h26’31”
5.Pere Aurell (ESP) – 9h43’00”

Women

1.Ragna Debats (NED) – 10h05’34”
2.Sanna EL KOTT (SWE) – 10h39’53”
3.Ekaterina Mityaeva (RUS) – 10h59’17”
4.Lina El Kott (SWE) – 11h16’59”
5.Sophie Andrey (SUI) – 11h37’23”
9.Yukari Hoshino (JPN) – 13h02’04”

Full results

Full rankings

大会ホームページ

SWS公式レポート(英文)