The Sky Masters 参戦記
―3名の日本人スカイランナーがみた2019世界シリーズ最終戦―

山岳ランニング界の世界最高峰のひとつ、スカイランナーワールドシリーズ(MigRun Skyrunner® World Series/SWS)。その最終戦である「The Sky Masters」の開催から1カ月経ちました。各ランキングや予選会で厳選された者だけが立つことのできるスタートライン。夢の舞台に立った3名の日本人スカイランナー、牛田美樹さん、高村貴子さん、上田瑠偉さんより参戦記をいただきました。それぞれ異なる環境と異なる思いの中で迎えた世界最高峰の同じ舞台。今週末に滋賀県で開催される日本の最終戦「びわ湖バレイスカイラン」の直前に、世界最終戦の舞台のドラマをぜひご一読ください。

Mig Run Skyrunner® World Series

The Sky Masters 出場資格(英文)
※ジャパンシリーズ(SKY部門)のチャンピオンは翌年の The Sky Mastersの参加資格を得ます


牛田美樹 USHIDA MIKI

©Sho Fujimaki
©Sho Fujimaki

改めて、このようなエリート選手しか出場することができないレースに出場でき、完走できたことを嬉しく思います。

正直スタートするまでは楽しみというよりも不安な気持ちの方が大きかったです。qualified Athliteの選手61人(男子)を見たとき、SJSのような国内ランキング1位で資格を有する選手が自分しかいなかったことや、ナショナルシリーズの指定大会優勝で資格を有する選手が4人で、それ以外は全てワールドシリーズのトップ5(スーパースカイレースではトップ10)というメンバーであることを知り、自分が彼らと一緒に走って良いのだろうかという気持ちが現地に着いてからも日に日に増していきました。加えて当日の悪天候とスタート時間の大幅変更。現地に来てから、ラスト5㎞のダウンヒルの試走とスタートから約3.5㎞(標高400m)までの試走をしコースの難しさを実感していただけに、ハイレベルな中でしっかり走りきれるだろうかと、スタートするまでずっと不安は付きまとっていました。

レース内容を振り返えってみると、結果は27位でしたが、前半は中位くらいの選手たちと競えていたので、スタミナと下りのスピードを強化できれば、もう少し上のレベルで戦えるかなという手応えを感じました。全コースを知っていれば、中盤以降の苦しい場面での踏ん張りが違うと思うので、2回目の1000mアップの登りの後半~ラスト5㎞くらいまでの一番苦しい場面の試走が出来ていたら、もう少し我慢して粘れたかなと今になって思います。

今回の出場に向けては、決して万全な練習を積めたわけではありませんが、体調不良や怪我などなくスタートラインに立つことができ、現状での力は出しきることはできたと思うので、悔いはありません。このような素晴らしい舞台で戦えたことに誇りを持ちたいと思います。応援ありがとうございました。


高村 貴子 TAKAMURA TAKAKO

©Sho Fujimaki
©Sho Fujimaki

4月の粟ヶ岳から始まった今年のワールドシリーズですが、リモーネで開催されたskymastersでようやく終了となりました。

今年は、初めてのワールドシリーズの転戦、初めての社会人生活、初めての長野県での生活と初めて尽くしのシーズンとなりました。 ワールドシリーズ初めての日本開催であった粟ヶ岳において3位と良いスタートを切れました。ところがその後のレースは仕事とトレーニング、そしてレースが上手く噛み合わず、なかなか体調を合わせることができずに今までになく苦戦しました。

ようやく今の生活にも慣れ、最終戦こそベストパフォーマンスを!と思って臨みました。しかし、レース2日前の試走で転倒して尾てい骨を強打。そのあとは歩くことも出来ないほどの痛みで、スタートに立てないのではないかと不安ばかりでした。そんな時、いろんな方々のアドバイスやテーピングのおかげで、当日走れる状態まで回復することができました。

レースとしては思うように体が動かず、振り返ると後悔と悔しさが残りますが、そこは来年の世界選手権までの課題として今後取り組んでいきたいと思います。私は年間ランキングTOP10を目標に、毎回のレースを最低ラインTOP10に入るように戦いリモーネでは10位で終了することができました。年間ランキングとはワールドシリーズ戦4レース+skymastersを出場条件としポイント順と記載されていたはずですが、レース数が少なくてもポイントの多い選手がランキングに入ってきたため私は12位で終わりました。最後の最後まで達成できず、不甲斐ない結果に終わりました。

社会人1年目にもかかわらず遠征に行くことを認めて下さった勤務先の病院には感謝でいっぱいです。 本当にありがとうございました。 そして、シーズンを通してサポートして下さったスポンサー様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。 来年の世界選手権で結果を出せるようオフシーズン頑張ります。


上田 瑠偉 UEDA RUY

©Sho Fujimaki
©Sho Fujimaki

10 月 19 日に開催された、Skyrunner® World Series(以下、SWS)最終戦、「The SkyMasters」を制し、年間王者に輝きました。これまでも SWS のレースには参戦していましたが、SWSを年間通して走り切ったのは今年が初めてで、こんなにも早く一つの大きな目標が達成できるとは、私自身、シーズン前は思ってもいませんでした。

最終戦は 10 日ほど前から現地に入り、入念にコースの下見をしました。また、レース 1 週間前から日本でお世話になっているトレーナーにも来ていただき、体のケアも万全な状態で臨みました。この 2 点が今回の優勝の大きな要因だったと思います。

また、今シーズンのSWS で勝ってきたレースで培った勝負強さ、勝ちパターンを遺憾なく発揮できたレースでもありました。Livigno でハマった登りで攻める走り、そして粟ヶ岳での Oriol とのスパート合戦を制したことは、最終戦のレース中にも大きな自信となりました。

来年は前年王者としてまたSWSに挑戦しつつ、2年に1度開催される世界選手権に照準を合わせていきます。

上田瑠偉、2019世界シリーズ王者!!歴史的快挙!!


上田瑠偉選手については12月7日にさいたま市で開催する「2019 SKYRUNNING 世界シリーズ報告会 in さいたま」にて詳しく聴くことが出来ます。お申込みお待ちしております!!

スライド1

 2019 SKYRUNNING 世界シリーズ報告会 in さいたま