8月5日(日)、イタリアのグランサッソにて「ユース世界選手権(グランサッソ・スカイレース)」の2つ目の種目であるSKYRACE®(スカイレース/±2226m/21.6km)が開催されました。日本チームでは先日のバーティカルで銀メダルを獲得した近江竜之介(RYUNOSUKE OUMI)が16-17歳を対象とするユースAカテゴリー※で2位以下に大差をつけての優勝という快挙を成し遂げました。この結果から、バーティカルとスカイレースの2種目の合計タイムで競うコンバインドでも優勝。最年少の近江は、2つの金メダルと1つの銀メダルを日本チームにもたらす大活躍でした。

※16-17歳を対象としたユースAカテゴリは若年であるため15km、±1600mの短縮コースで実施された。18-20歳対象のユースBカテゴリ、23歳以下のU23カテゴリは21.6km、±2226mのコース。

軽快に「空」を駆け抜ける近江 ©Nagi Murofushi
軽快に「空」を駆け抜ける近江 ©Nagi Murofushi

グランサッソ・スカイレースはスカイランニングの母国であるイタリアを代表するレースのひとつです。コースの大部分は森林限界を抜けたスカイランニング・フィールド。2日前のバーティカルと同じルートをカンポ・インペラトーレ※まで駆け登り、イタリア半島最高峰であるグランサッソを横目に眺めつつ標高2533mの前衛のピークを踏み、再びカンポ・インペラトーレから山麓に戻ります。傾斜40度のガレた斜面やクライミング要素のある急峻な岩場も一部にあります。アルピ二ズムの色の濃い、まさに“イタリア版・登山競走”といえるレースです。

※カンポ・インペラトーレは第2次世界大戦時にムッソリーニが幽閉された場所として歴史的に有名である。1943年9月12日、ドイツ軍によってムッソリーニ救出作戦が決行された。

ユースBとU23が登る標高2500m級のピークはクライミング要素も入った区間となる ©Nagi Murofushi
ユースBとU23が登る標高2500m級のピークはクライミング要素も入った区間となる ©Nagi Murofushi

日本からは8名の若きスカイランナーが出場しました。2日前に開催されたVERTICAL KILOMETER®(バーティカルキロメーター/+1000m/3.6km)では、日本ではなかなか体験できない急斜面に悪戦苦闘して実力を出しきれなかった選手もみられました。今現在の力を全て出し尽くすべく、世界各地から集結した若者たちと共にスタートラインに立ちました。

この岩山の山頂を選手たちは目指した ©Nagi Murofushi
この岩山の山頂を選手たちは目指した ©Nagi Murofushi

コースの序盤は2日前のバーティカルと同じ標高差1000mの斜面をカンポ・インペラトーレまで駆け登ります。全員一斉スタートであるためユースAの近江も、ユースBやU23の選手と共にスタートしましたが、カンポ・インペラトーレ通過時に4位につける快調な出だしとなりました。この時点でユースAカテゴリのライバル選手を引き離しており、中盤以降は近江の一人旅が始まります。復路のカンポ・インペラトーレ通過時には2位との差は4分まで開いていました。最後のダウンヒルでも2位以下との差をさらに広げて1時間55分代でユースAカテゴリ世界チャンピオンに輝きました。この結果より、バーティカルとスカイレースの合計タイムで競うコンバインド部門でも近江は金メダルを獲得しました。

初の世界戦で大活躍だった近江 ©JSA
初の世界戦で大活躍の近江 ©JSA

標高2500m級のピークを踏むハードなコースのユースB・U23のメンバーもそれぞれが最後まで全力を尽くしてゴールしました。ユースBの服部一輝(KAZUKI HATTORIは日本チームで最も速いタイムでカテゴリ14位と健闘。世界選手権初出場の加藤晟人(AKIHITO KATOは前日までパワーハイクを熱心に研究した成果もありバーティカルより良い順位の18位。U23カテゴリでは、キャプテンの鈴木龍弥(RYUYA SUZUKI)が19位。3度目の挑戦となった鈴木はゴール直後に悔し涙を浮かべていましたが、次々とゴールする仲間を最後のひとりまで迎えていました。

ゴール後、検討をたたえ合う鈴木と服部(後姿)
ゴール後、互いの健闘をたたえ合う鈴木(サングラス)と服部(後姿) ©JSA
ゴール後、実に清々しい表情のユース選手(左から近江、服部、加藤、鈴木) ©JSA
ゴール後、実に清々しい表情のユース選手(左から近江、服部、加藤、鈴木) ©JSA

U23、3度目の挑戦となった菊川惠大(KEITA KIKUGAWAは26位、初出場の宮崎大夢 (HIROMU MIYAZAKIは31位。菊川はゴール後悔しい表情をみせていましたが、最終年となる来年へ向けて自分自身の課題を見つけることのできたレースとなりました。宮崎は肉離れの状況でしたが、登りは攻め続け、ダウンヒルも最後まで痛みを耐えてゴールしました。

仲間に迎えられた菊川。様々な思いの混ざった表情も実によい ©JSA
仲間に迎えられた菊川。様々な思いの混ざった表情も実によい ©JSA
ゴール後、筋肉の様子をチェックしてもらった宮崎。痛みのある中よくゴールした ©JSA
ゴール後、筋肉の様子をチェックしてもらった宮崎。痛みのある中よくゴールした ©JSA

今年から一気に層が厚くなった女子部門。滝澤空良(SORA TAKIZAWA)は今年から入ったレベルの高いU23カテゴリでもトップ10に入る9位と活躍をみせました。本格的な山岳レース初体験となった柿本恵理(ERI KAKIMOTOは12位。練習時の怪我で直前まで足の調子が悪い状況であったにもかかわらず、本番に状態を合わせて見事にゴールテープを切りました。

過酷なコースであったが無事戻ってきて満面の笑み(左からコーチの岩楯、滝澤、柿本) ©JSA
過酷なコースであったが無事戻ってきて満面の笑み(左からコーチの岩楯、滝澤、柿本) ©JSA

参加した8名の若きスカイランナー。それぞれに感動のドラマがあったユース選手権であったといえます。引率してくださったスタッフの皆さん、そして、彼・彼女らの挑戦を応援・支援してくださった皆さんに心より感謝申し上げます。スカイランニングのムーブメントは世界中で拡大しており、アウトドア・ランニングの世界では近年中には確固たる世界の主流になるという確信を得ることができました。なお、2019ユース世界選手権日本代表の選考会として、10月に開催される尾瀬岩鞍バーティカルキロメーターが位置付けられています。世界を夢見る若きスカイランナーの挑戦をお待ちしています!!

最高峰目指して空に向かって駆け登る。スカイランニングは世界の若者たちの心をとらえるスポーツへ成長している。 ©Nagi Murofushi
最高峰目指して空に向かって駆け登る。スカイランニングは世界の若者たちの心をとらえるスポーツへ成長している。 ©Nagi Murofushi

2018ユース世界選手権(SKYRACE) リザルト

ユースA(16-17歳)女子
1.GONFAUS SLLES LAIA(スペイン)2:28’53
2.SINFREU ALDUCIN ANDREA(アンドラ)2:31’39
3.NEMETH LUCA(ハンガリー)2:32’19
4.ITURRIA ALZATE ANE(スペイン)2:37’35
5.DE MENDIOLAGOITIA DIAZ ALBA(スペイン)2:56’53

ユースB(18-20歳)女子
1.BASSO CECILIA(イタリア)3:04’28
2.SANCHEZ SOFIA(アメリカ)3:18’41.6
3.KALOUSOVA TEREZA(チェコ)3:20’09
4.CUMERLATO MARTINA(イタリア)3:22’35
5.ZUBIZARRETA ARMENDARIZ IRATI(スペイン)3:23’54

U23(21-23歳)女子
1.SABATA FONT CLAUDIA(スペイン)3:04’28
2.RYAZANOVA EKATERINA(ロシア)3:19’47
3.LANE MEG(アメリカ)3:25’50
4.SCHMID ALESSANDRA(スイス)3:27’45
5.ÖBERG JOHANNE(スウェーデン)3:31’59
9.TAKIZAWA SORA(日本)3:53’41
12.KAKIMOTO ERI(日本)4:10’06

ユースA(16-17歳)男子
1.OHMI RYUNOSUKE(日本)1:55’15
2.PEREZ ANGLES ALBERT(スペイン)2:00’56
3.SALVADORI MARCO(イタリア)2:01’19
4.JUAN SABATER ORIOL(スペイン)2:04’11
5.TROULLIER VINCENT(フランス)2:05’37

ユースB(18-20歳)男子
1.OSANZ LABORDA DANIEL(スペイン)2:32’59
2.DETIENNE THEO(フランス)2:33’24
3.BERTONCINI MATTIA(イタリア)2:33’38
4.MOLINA AGUSTÍN NICOLÁS(スペイン)2:37’05
5.TANARA MATTIA(イタリア)2:37’39
14.HATTORI KAZUKI(日本)3:01’34
18.KATO AKIHITO(日本)3:06’17

U23(21-23歳)男子
1.BUCHS PASCAL(スイス)2:28’57
2.DELORENZI ROBERTO(スイス)2:32’26
3.CAGNATI LORENZO(イタリア)2:33’41
4.JIMENEZ OLLER JUAN JAVIER(スペイン)2:39’59
5.KRIVOHLAVEK TOMAS(チェコ)2:40’48
19.SUZUKI RYUYA(日本)3:03’50
26.KIKUGAWA KEITA(日本)3:16’50
31.MIYAZAKI HIROMU(日本)3:22’45

ISF公式レポート(11 countries get medals at Youth Skyrunning World Champs)

SkyRace® results

2018 Medal count

2017  Youth Skyrunning Championships

2016 Youth Skyrunning Championships

Regulations and details


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