12月17・18日、長野県上田市にてJSA主催の研修会である「スカイランニング大学in信州上田」を開催しました。「登山や山岳スポーツについての知識を深め、各自が未来へのビジョンをもつこと」という目的のもと、初日は3コマの“授業”が長野大学の講義室にて、2日目は“実技”としてテストレースが太郎山にて開催されました。より広く、より深く。山岳スポーツであるスカイランニングの魅力を改めて学んだ2日間となりました。

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1コマ目は、前半に「スカイランニング検定」を実施しました。全50問、スカイランニングに関する知識についての検定です。参加者の中の最高得点は84点でした。問題を公開します。皆さんもぜひ挑戦してみてください。

スカイランニング検定 問題用紙 解答用紙

後半にはアンチド―ピングの基本についてJSA医科学委員会の矢口英人さんより講義がありました。今回は概論として基本情報について講義をしていただきましたが“ドーピングであるか知れども知らずとも最後に体内に入れるのはアスリート自身、ドーピングの責任を負うのはアスリート本人”という言葉が印象的でした。

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2コマ目には、日本山岳文化学会の田中文夫先生「登山と山岳スポーツのちがい」というテーマで講義いただきました。ヒマラヤ登山隊の隊長を務めて隊員を亡くす遭難事故の経験をもつ田中先生。ご自身のその経験談を交えながら、“山岳スポーツは「死の条件を排除する」もの”という登山と山岳スポーツの間にある明確な一線について詳しくご説明いただきました。「山頂はその時々の目標であり、荷物はその時々に背負っている責任である」、「登山は自然に逆らって目標を目指すもの」、「楽しみは後からやってくるものであり、ひとつの目標が終わると次の目標がみえてくる」など、山の先達である田中先生からは印象に残る言葉をたくさんいただきました。

Photo by Salomon
Photo by Salomon

3コマ目には、Team Salomonの小川壮太選手から2016年に挑戦して世界5位に輝いたスカイエクストリームの世界について講義いただきました。第1戦のトロムソや最終戦のグレンコーについて、生々しい体験談を伺い、世界規格のレースの魅力と難易度について理解することができました。また、スカイランニングだけでなく、SKIMO(山岳スキー)など様々な山岳スポーツが文化として根付いている欧州の現場についても伝えていただきました。「ブームを文化にしていくこと」の必要性について全員が再確認できた時間となりました。

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翌日は、上田市に聳える太郎山にて、近い将来に開催を予定している「上田スカイレース」のテストレース(コース試走会)を実施しました。距離23km、累積標高差2700m。Miniエクストリームといえる難易度の高いコース設定で、全コースを踏破できたアスリートは参加者30名中10名未満でした。ただし、今までの日本には皆無といえる規格のコースについてはスカイランナーたちから好評でした。この日はJSAと協同して新コースの登山道整備にあたる地元の山岳会や自治会の方もテストレースを見学にいらしてくださいました。地域と協同してつくるスカイランニングレースの新しいモデルとして「上田スカイレース」は2~3年後に都市型の山岳スポーツエンターテイメントとして実施される予定です。

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JSAでは2017年より複数の専門委員会(国際・強化・競技・安全環境・医科学)を立ち上げて、様々な角度から山岳スポーツについての知識を深める機会を設けていきます。今回の「スカイランニング大学」の実施は来年以降に向けての研修会の試行としての意味もありました。JSA発足より3年間の“種まきの時期”を経て、2017年からは日本でスカイランニング界が“芽吹く時期”となるでしょう。一流スポーツ・地域スポーツ・生涯スポーツとしての発展へ向けて、共に駆け登り続ける素晴らしい仲間たちがJSAにはいます!!

Do Not Finish (UEDA SKYRACE)
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